新入部員の杏理と出会ったその日の夜
大学の近くにあるお店で食事をしながら杏理と話をした。
自己紹介を含めたこれまでの出来事、そしてこれからの話。
3時間ほどして、部室で解散。
したはずだったが、杏理は「部室の掃除をしてから帰ります」ということだった。
そして、その日の深夜。
杏理から1通のメールが届く。
そこには、アメフト部の構想について書かれていた。
正直、驚いた。本当に驚いた。今でも驚いている。
なぜならば、その時に杏理が考えた構想が、ほぼその通りに実現しているからだ。
この時に、自分よりも彼の方が頭が良いことを悟った。
そして、私ではなく、彼が主将となりチームを率いていった方が、うまくチーム運営が出来ると確信した。
先輩として、1年生に主将の座を明け渡すのはどうなのかという意見もあるかもしれない。
だが、私は、彼の頭脳に一筋の希望を見出した。
プライドが無いわけではない。
だが、後輩だろうと、認めるべきものは認めて、成長を促すことに注力するのが先輩としての責務だ。
後輩の才能を潰すようなことは、絶対にあってはならない。
彼を主将の座に据えたことは、昔も今も全く後悔していない。
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