【第9話】力になりたい

ストーリー

けんしろーは、アメフト部を退部した後、すぐにラグビー部に仮入部した。
当時のラグビー部は、部員数は25人ほど。
練習は充実しており、同級生の友だちも沢山出来そうだった。
毎年、リーグ戦があるのは”当たり前”なので、試合に向けて練習に取り組める。
望んでいた環境がそこにあった。

そうこうして、アメフト部を退部してから1週間が経った。
今日も、いつも通りラグビー部の練習に参加していた時、グラウンド中に大きな声が響き渡った。
聞き覚えのあるその声は、リュウ先輩のものだった。
20人を超えるラグビー部の練習よりも、たった2人のアメフト部の方が声が大きかった。
(というか、リュウ先輩は声が大きすぎて本当にうるさい)

その時、胸中で様々な感情が渦巻いた。
運命の悪戯でアメフト部に入部してからの一連の出来事。
リュウ先輩に振り回されながらも、どこか充実していたあの日々。
アメフト部を復活させるという大きな目標。
初代OBの嬉しそうなあの後ろ姿。

反対に、そっちは赤信号だと主張する自分もいた。
既に、3ヶ月でレギュラーになる計画を立てて、自主練も開始していた。
まだ1週間だけだが、その日々を裏切るのか。
そして何より、アメフト部に入部したところで試合に出られる保証はどこにもないんだぞ、と。

だが、だったら、なぜ仮入部した?
仮入部のままにしたのは、心のどこかでアメフト部に戻る選択肢を残したかったからじゃないのか。

そんなことを考えていると、足は自然とアメフト部の方へと向かっていた。
もう、進み始めた歩みを止めることは、なかった。
先輩方は、退部した私を温かく迎え入れてくれた。

正直、本当に正しい選択だったのか否か、今でもよく分からない。
ラグビー部に入っていたら、また違う人生だったと思う。
しかし、この時ラグビー部に正式入部していたら、翌年に先輩方が卒業した後は部員が0だったので、アメフト部は廃部になっていた。
それに、この時アメフト部に入っていなければ、その後の貴重な経験の数々は体験出来なかった。
ともあれ、ここが大きな分岐点でした。

再びアメフト部に入ったけんしろー。
次回は、今でも親交のある、あの大学と出会います。
※第10話は、5月24日の21時に更新します。

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